ラガーとエール…。ビールを嗜む方ならば、少なくとも一度は耳にしたことのある単語だと思います。しかし、「その違いを説明してよ」と言われて、さっと答えが頭に浮かぶ人は少ないのではないでしょうか?
一番単純な解答例は「味が違う」です。日本で一般的に売られてる、一番搾り、スーパードライ、黒ラベルなどなど、ほとんどのビールはラガーに分類され、その味の想像は難くないでしょう。
対してエールは、サントリーの香るエール、あるいはヤッホーブルーイングの(よなよなエール、水曜日の猫など)が比較的有名です。エールは、ホップの華やかな香り、フルーツのような甘い芳香、舌触りの柔らかい甘みなどが特徴で、ラガーが苦手な方でも、エールだったら飲みやすいし美味しいと感じる方も多いと思います。
では、この味の違いは何によって生まれるのでしょうか?
答えはビール製造過程における、発酵方法の違いにあります。ビールの発酵には、上面発酵、下面発酵、自然発酵の3種類があり、上面発酵を経たビールがエール、下面発酵を得たビールがラガーとなります。
ちなみに自然発酵とは、麦汁を醸造所内に放置し、そこに住み着いた酵母によって発酵を行う昔ながらの方法で、ベルギー、オランダ、フランスなどでみられますが、チェコビールでこの発酵を行っているという話は聞いたことがありません。
【上面発酵/svrchní kvašení (スヴルフニー クヴァシェニー)】
常温(15~20℃が多いが30℃近い場合もある)に保って発酵させると、発酵が進むにつれ酵母の塊が発酵タンクの上面に浮いてくるので“上面”発酵と呼ばれています。
【下面発酵/spodní kvašení (スポドニー クヴァシェニー)】
低温(10℃付近)に保って発酵させると、発酵が進むにつれ酵母の塊が下に沈むので、“下面”発酵と呼ばれています。